あの頃、テレフォンボックスで
午後から降り出した雨が
激しさを増してきた。
せっかくのクリスマスイブも
これでは台無しだ。


冬の雨は・・・
冷たくて寂しい。


6時になるのが待ち遠しくて
半日、ずっと時計の針を眺めていた。


あんなに行けないと思っていたのに、
行きたい、行きたい、

行って
ケイタに会いたい。



30分前に車に乗って
二駅先にあるビルを目指す。
ワイパーを動かしても、
視界が不鮮明だ。


私・・・・
ワイパーを
取り替えることすら忘れてる。


ここ数ヶ月、
私の心を捉えて離さなかったもの。

うつつを抜かしすぎて、
それ以外のこと全てを
なおざりにしてきている。


ケイタを愛している。

その想いの先にあるもの。


それを、

確かめなくては。


今日・・・・この夜に。
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