あの頃、テレフォンボックスで
駐車場に着くと、ケイタはもう
そこで待っていた。

ケイタの近くに
車を停める。


ケイタは・・・・
いつもとは違って
助手席に乗り込んできた。


「トーコさん・・・
来ないかもしれない・・・って
思ってた。


もし来てくれなかったら、
どうしようかって・・・・」


そう言ってうつむく。


ケイタは・・・

会えないでいる時間も
私のことを考えて
胸を熱くしている。


そう思うと
涙がでてきそうだった。



私はもう何もかもが
どうでもよくなって、

今ここに
ケイタと二人でいることだけを
考えようと思った。



「会いたかった。
もうなんにもいらない。
ケイタと一緒なら
それだけでいい・・・・・」


ケイタの膝に手を置き、
私もうつむいて
言った。


ときどき
買物を終えた人が
荷物を抱えて歩いていくけれど、
誰も私たちのことには
気付かない。



これから
もう戻れない道を行こうとしている

私たちのことに。








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