あの頃、テレフォンボックスで
「瞳子、大丈夫か?しっかりしろ?
本当にケガはないんだな?

明日・・・は無理だが・・・・・

あさってには・・・
なんとか
帰れるようにするから・・・


何も心配しないでいいから、
とにかく僕が帰るまで、
何もしなくていいから・・・・・」

慌てた様子で夫はそう言った。



「大丈夫だから。」


そう言って、夫は電話を切った。



電話が切れてからも
しばらく
受話器を耳にあてたまま
ツーという
信号音を聞いていた。



あさって
夫は帰ってくると言っていた。



帰ってくる、と。



私は混乱していた。
裏切っているのは私?
それとも夫のほう?


確かなものは
目にはみえない。



一体、
何を信じれば・・・・・。








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