あの頃、テレフォンボックスで
「深そうね。
なんだか・・・・こわい。」


「ね、トーコさん。
今は暗い海を見ているけれど、

ここから続く広い海には、


青くてキレイなところとか

澄みわたるほど透明なところとか


いろんなとこがあるじゃない?



トーコさんも・・・・・

もっと青かったり

澄んだ透明だったりするところを

いつも見つめていればいいのに。」




「どうして?」



「いつも泣いてるみたいだから。

初めて家に行った日、

“空の青”を見ていたときも。

さっきあの店で

コーヒー飲んでたときも。」








・・・・・ああ、


いきなり、うんと深い。



胸が

しめつけられるように


痛んだ。

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