あの頃、テレフォンボックスで
「それ・・・・
フランス語で書いてあるんだ。

‘ 座って
 空を 見上げてごらん ’


そう書いてあるらしいよ。」




・・・・これを・・・・
私にあげなくちゃ、と思って・・・・?



私は座っているケイタの頭を抱きしめた。
こんなに誰かのことを
愛しいと思ったことが

今まであっただろうか。


ケイタの匂いがする。
今ここに
ケイタが


私の腕の中にいる。







抱きしめて・・・
強く抱いて、
ケイタを感じる。


彼の頬が
髪が

私の手と・・・
頬と触れ合って
溶けて混ざり合う。


やがて、ケイタの唇が
私に重なる。


何度キスしても、
まだ足りない。



ケイタが欲しい。



他にはもう
なにも考えられない。



激しく抱き合って、
何度もキスをして・・・・


私たちはソファから転がり落ちた。











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