あの頃、テレフォンボックスで
今、誰かが私に
足りないものは何か、と聞いたなら

私は、
そんなものはない、と答えるだろう。


同じようにまた
ケイタに
やり場のない思いをどうするのか、
と聞いたなら

彼は、
もう忘れてしまった、と言うだろう。




私たちは辿りついたのだ。
探し求めていた場所に。


これが、
私たちの全て。




まるで巡り会う前から
こうなることが
決まっていたかのよう。





ゆっくりと目を開けると、
ケイタの目がまっすぐに
私を見つめている。



< 194 / 201 >

この作品をシェア

pagetop