あの頃、テレフォンボックスで
5人はリビングのテーブルを囲んで、
フローリングに座りこんでいる。

何がそんなに楽しいのか・・・・・
笑って、こづき合って
喋って・・・・


なんだかまぶしい。



私にもこんな時代があったのになぁ。


そして、


それを離れて見ている自分がいるなんて


あの頃は考えてもみなかった。




普通の母親なら
光の輪の中にいるわが娘のことを
喜んでやるべきだろう。


友達、カレシ、
かけがえのない時間。


娘に
笑い合える仲間がいることを
誇らしく思いながら、

少し妬ましい。






「さっ、できたわよ。未来、運んで。」



急ごしらえのパスタが、
買い置きのパンが・・・・


自家菜園、というと聞こえがいいけれど、
ただ、苗を買って植えただけで
葉を出し
実をつけてくれる、なけなしの野菜たちを
庭から採ってきて


そうして作ったサラダが・・・・




アッという間に食されていく。



・・・・・育ち盛りなんだわ。



キッチンとリビング。


この間に
長い時のへだたりを感じながら



ドラマでも見ているかのように
高校生たちの姿を眺めていた。




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