あの頃、テレフォンボックスで
夫がビールを飲み干す。


「いや~うまい。
しかし、日本は暑い。」


3週間近く、
上海にいたので
梅雨を知らずに夏を迎えたのだ。


「帰ってくるなら、帰ってくるで、
もう少し早く連絡くれればいいのに。」


「いや、急に予定を変更して
戻ってきたんだよ。

今、休んでおかないと
また夏の間はもどってこれないだろうし。」



「向こうではどうしてるの?」


「会社が全部、世話してくれてるから
心配ないさ。」




志穂が言っていた。

「佐山さん、大丈夫?
予定を全然知らせないなんて、
なんだか怪しくない?


私だったら、
疑心暗鬼になっちゃって
耐えられないなぁ・・・・・」



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