あの頃、テレフォンボックスで
夫が浮気をしている?


まさか。

そんなこと考えてもみなかった。



たとえ、
浮気をしているとしても、

私が知らないでいるのなら、
それでいい。




彼は帰ってきている。
必ずここへ。


夫の先にある、
私の知らない世界で

何かがあったとしても
私のあずかり知るところではない。



いつから

いつからこんな風に
考えるようになったのかしら。



いいえ、
夫に対して

夫の先にある、
私の知らない世界に対して



嫉妬を覚えたことなど
一度もない。


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