あの頃、テレフォンボックスで
「ふ~ん、
まぁ、瞳子が楽しいのなら
いいんじゃない?

なんでも
好きなことやってみればいいじゃない、

時間はたっぷりあるんだし。」




・・・・・時間はたっぷりある、


少し前までは

そんな言葉にも傷つく自分がいた。



未来が小さい頃
時間がない、といつも
悲愴な表情をしていた。



夫は

今が一番たいへんなのだろうから
家事ができていなくても

ご飯が出来合いのものでも

俺は全然かまわない。


もっと
肩の力を抜いて
育てれば?


と言った。




・・・・・そんなことじゃなくて、



ことばにできなかった。
説明できない、
なにかに追われていた。


欲しいのは

時間、

じゃなくて。

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