あの頃、テレフォンボックスで
食べ終わった食器を運んで、
5人がそれぞれにキッチンにやってくる。


未来のカレシだという長井くんが、
「ミクのお母さんって何才なんですか?」

と唐突に聞く。


「長井くん、失礼だよ~。」

と亜紀ちゃん。

亜紀ちゃんは未来とは
小学校からの友達だ。
亜紀ちゃんのママと、
以前はよくランチに出かけたものだ。



彼女が
離婚して自分の力で
生きていくことを決めたとき

私は
軽い敗北感にみまわれた。




「36才よ」


「やっぱりなぁ・・・・」

「なにがやっぱりなの?」
ケイタくんに向かって聞く。

なぜかドキドキする。


「いや、うちの母親、50だもん。
未来ちゃんのお母さんとは・・・
全然ちがいます。
なんて言ったらいいか・・・・」



「ケイタくん、ご兄弟は?」

「5つ上にアニキがいます。」


「だったら、お母さんも
それくらいのお年で普通よね。
私は、未来ひとりだし。
それに、大学を出る頃に生んだから、
未来は21才のときの子なのよ。」



未来を産んですぐに私は22才になった。

予定日よりも1か月早く
陣痛がきてしまったせいで
卒業式には出られなかった。

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