あの頃、テレフォンボックスで
彼は伏し目がちに
奥の席に向かって一直線に
歩いているだろう。


1、2、3・・・・・・


私の背後で立ち止まる気配。


「トーコさん」


慌てないように、一呼吸おいて
ゆっくりと振り向く。

「ケイタくん・・・・
 ごめんなさい・・・・・」


私の目の前の席に座る彼を見つめながら
思わず、謝る。



「なにが?」


まっすぐに見つめ返す彼の目を
まともに見ることができなくなって
下を向いて
意味もなく、ストローをまわした。



言葉に詰まる私をよそに
ケイタくんが注文した
メロンソーダが運ばれてくる。



「で、

 何がごめんなさい、なんだっけ?」



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