あの頃、テレフォンボックスで
「それにしても・・・・・

自分のお母さんを
『母親』って言うのはやめて。
とっても耳障りだわ。」


「わっ、やっぱり若く見えてもオバサンだ」

貝塚さんは
未来が最近仲良くなった女の子。
ボーイッシュな見かけそのままに、
さっぱりした子のようだ。


「はいはい。未来ちゃんのお母様。」

おどけたように、ケイタくんが言う。


「お母さんってお名前なんでしたっけ?」
「そうね、
亜紀ちゃんとは長い付き合いだけど、
私の名前なんか知らないわよね。

瞳子よ。」



「トーコさんかぁ」


「長井くん、彼女の母親に向かって
『トーコさん』はないんじゃない?
あれ?また『母親』とか言っちゃった。
トーコさんに怒られるぅ。」

「貝塚さん、
その場合は『母親』でいいのよ。」





5人はもう違う話題で盛り上がっている。

駅前にできた新しい店の
TEX-MEXなメニューが
とってもいい、とかなんとか。



若く見えても、
見えるだけ・・・・・かぁ。




36才でも50才でも


この子たちにとっては



誰かのおばさん。








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