あの頃、テレフォンボックスで
男と女
夏のあいだ
私たちはほとんど
メールのやりとりだけで過ごした。


街には人が多すぎる。



一度、駅前のコーヒーショップで
ケイタに出会った。

ケイタは夏期講習の帰りらしく、
友達と一緒だった。



いつもなら
子どもの集まりにしかみえない
そのグループの中で
ケイタは笑ってた。


私といるときと同じ、
屈託のない、
まっすぐな目をして。



すれ違いざまに
軽く会釈をした。



うしろで
「誰?」と聞く声。



「未来のお母さん」


ケイタが
普通に答えている。
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