あの頃、テレフォンボックスで
中村さんは
私の片想いだと決めつけているので、
それ以上は何も聞かなかった。



「亜紀ちゃん、どうする?」

「そうね、週末には迎えに行くわ。
だからあと二晩、泊めてくれない?
もう一度きちんと話してみる。」


「亜紀ちゃんもわかってくれるといいわね。
女同士として、女の幸せについて、
語り合ってね。」


「まだ、そんなのわかってくれないって・・・
そうそう、もう一つ心配事があったのよ。

向こうにも、
北中さんにも息子がいてね、
高3だから受験生。
男手ひとつで育ててきて・・・・

とってもいい子なんだけど、
一緒に住む自信ないなぁ。」


「・・・・やっぱり、
息子にもときめいちゃうから?」


ぶー、

「もう、なに言ってんのよ、
コーヒー吐き出しちゃうとこだったじゃない!
息子にときめいてどうすんのよ、
18よ、子どもよ~。

受験生だし、ビミョウな年頃でしょ。
それに、うちには亜紀がいるし・・・・

兄妹になるには
年頃すぎるってことよ。」



18は子どもかぁ。



そう、


普通はそうだよね。








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