あの頃、テレフォンボックスで

佐山と過ごしてきた日々の中で・・・・
クリスマスには
やはり、特別なことがたくさんあった。


女子高だった私は
周りの友達の
「クリスマスどうするの？」
という言葉に、嫌悪をおぼえながら・・・
憧れを抱いていた。



クリスマスだからなんだというの？
でも、
その日にひとりでいるのは寂しい。



みんな、彼氏と過ごすクリスマス。
そのために、その時期だけ
大学生や社会人とつきあう子もいた。


「だって、
ゴージャスなホテルを予約してもらいたいし
ティファニーかなんか、
もらいたいじゃない？」



そういう時代だったのだ。


「瞳子はどうするの？」

と聞かれて、


「もちろん、彼氏とね。」

だなんて、答えてしまったのは
見栄以外のなにものでもない。



そう言いながらその日を
家で家族と過ごすのは
本当に嘘つきみたいで気がひけたので、


つい佐山に電話してしまったのだ。


「先生、どっかに連れて行って。
２４日がいいなぁ。」