あの頃、テレフォンボックスで
「瞳子ちゃんから電話がくるなんて・・・
びっくりしたよ。」


佐山のことばを受け流して
聞いた。


「先生・・・
いつもこんなところで
ご飯食べてるの?」


「まさか。
会社の先輩に聞いたんだよ。
どっかいい店ありますかねぇ、って。


クリスマスだろ?
彼女とデートか?なんて聞かれて
まいったよ。」



佐山は・・・・

私の反応をみるために
そんなことを言ったわけではない。


そのときの様子を
そのままに言っただけだ。



この人は嘘もかけひきも知らない。



・・・・・今となっては

知らなかった、と言ったほうが正しいのかしら?




「クリスマスって・・・なんであるんだろうね。」


そう呟いた16才の私に佐山は言った。



「一番大事な人のことを一番大事だって
思い出すためにあるんじゃない?」



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