あの頃、テレフォンボックスで
ふと目をやると
ケイタくんが
壁にかかった絵を見ている。
どこか、
心ここにあらず・・・・
という雰囲気は
この子特有のものなのか。
紅茶とお菓子を持って
若者たちの輪に入っていく。
「どうぞ、休憩でもしたら?」
ありがとうございます、
と口々に言うが早いか
ケーキにフォークをつきさす。
ケイタくん。
また壁の方を見ている。
「その絵がどうかした?」
「いや、不思議な絵ですね」
「そう?」
「子どもの絵みたいっていうか・・・
俺でも書けそうっていうか・・・・・
でも、なぜか見ていて
大事な何かを
思い出さなくちゃいけないような
そんな気になるっていうか・・・・・」
「それは
カンディンスキーという人の絵よ。
有名な『空の青』という・・・・。
私も、
なぜだかわからないけど、
気になって
ついその絵に吸い込まれてしまうのよ。」
「本物ですか?」
「まさか。
本物は
パリのポンピドゥーセンターにあるわ。
それは安物のポスター。
パリのそれは・・・・・
青がもっと繊細な色だった・・・・・。」
芸術における精神的なものを
追求したカンディンスキー。
~~対象を描かないとすれば、
一体何が対象に取って代わるべきか?
ケイタくんが
壁にかかった絵を見ている。
どこか、
心ここにあらず・・・・
という雰囲気は
この子特有のものなのか。
紅茶とお菓子を持って
若者たちの輪に入っていく。
「どうぞ、休憩でもしたら?」
ありがとうございます、
と口々に言うが早いか
ケーキにフォークをつきさす。
ケイタくん。
また壁の方を見ている。
「その絵がどうかした?」
「いや、不思議な絵ですね」
「そう?」
「子どもの絵みたいっていうか・・・
俺でも書けそうっていうか・・・・・
でも、なぜか見ていて
大事な何かを
思い出さなくちゃいけないような
そんな気になるっていうか・・・・・」
「それは
カンディンスキーという人の絵よ。
有名な『空の青』という・・・・。
私も、
なぜだかわからないけど、
気になって
ついその絵に吸い込まれてしまうのよ。」
「本物ですか?」
「まさか。
本物は
パリのポンピドゥーセンターにあるわ。
それは安物のポスター。
パリのそれは・・・・・
青がもっと繊細な色だった・・・・・。」
芸術における精神的なものを
追求したカンディンスキー。
~~対象を描かないとすれば、
一体何が対象に取って代わるべきか?