あの頃、テレフォンボックスで
佐山にはわかっていたにちがいない。

大人ぶって
クリスマスにデートをしてみたかった私。


佐山は
食べるものすら
私に選ばせてはくれない。


佐山といると
私は選ぶ必要がないのだ。



・・・・・一番大事かどうかもわからないのに

先生とこんなところにいる。




「彼氏と過ごす」と言ってしまったことより

もっと悪いことのような気がした。





食事を終えると10時をすぎていた。

佐山は「送るから、早く」と言って
慌てて車に乗り込んだ。


通り過ぎる街は
人の波にあふれ
ネオンがまぶしい。


さっきまでいたところが
こんなににぎやかな場所でなくて
よかった。



友達にでも出会いそうなお店で
食事をしていたら

私はきっと




突然泣き出してしまっていたに違いない・・・・





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