あの頃、テレフォンボックスで
家の前で車を止めて
佐山は鞄から小さな包みを取り出した。


「はい、プレゼント。」



・・・・・・・・・・



「なにがいいかわからなくて。
買いにいく時間もなければ金もない。

気に入るかどうかわからないけど、
また、
もっと給料があがれば
瞳子ちゃんの欲しいものを
買ってあげられると思うから。」



「・・・・・ありがとう。」



言い終わらないうちに
佐山に促されて、
車を降りた。



「遅くまでお引止めしてしまって
すみません。」


「まぁ、ほら、
でかけた時間がでかけた時間だし。
ねぇ、先生も仕事でお忙しいのに、
瞳子のわがままにつきあってもらって、
ごめんなさいね。
どうぞ上がってお茶でも飲んでいってください。」


「いいえ、もう遅いですから。
また来ます。」




母にそう言って佐山は帰っていった。


「じゃぁ、またね瞳子ちゃん。」



また・・・・・
また・・・・・



いつから続いてて
いつまで続く

佐山との、

また・・・・・



父は
少し怒ってた。
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