あの頃、テレフォンボックスで
部屋で
プレゼントを開けると
それは
華奢な金のプレスレットだった。


ティファニーでもなんでもない。



だけど、
私がもってる
メッキのものでもない。




光に反射してきらきら光る
金色の細い鎖を
目の前にかざしてみる。



みんながしたいことって
これ?




念願の女子高生になってからも
家庭教師だった佐山とは
たまに会う。


親が食事に呼んだり
佐山が
ドライブに連れて行ってくれたり。



私にとっては
いつまでも「先生」なのに


ただ、
クリスマスに会ってしまったからというだけで
繋ぎとめておかれそうでこわい。



そのブレスレットは
一度も手首にまかれることなく


箱に入ったまま
今でも、たんすの片隅に
置かれている。



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