あの頃、テレフォンボックスで
その次のクリスマスは・・・・
森川くんと過ごしたんだった。



森川くん、


そう呟いただけで

今でも胸がキュンとする。


甘酸っぱいものが口の中に広がる。





「ちょっと煙草を買ってくる」

とっくに風呂から上がり、
寝室でテレビを見ていた夫が
リビングに向かって、そう声をかけて


玄関を出て行った。






夫が出て行ったのを
見計らって
未来が部屋から出てきた。


「パパ行った?

はぁ~~、うざ~い。

いつまでいるつもりだろ?早く帰ってくれないかな。」



「何言ってるの、パパの家はここでしょ。」



くすくす笑いながら未来に言う。

「パパ大~~好き。」

そう言って
足にまとわりつき、
顔中にキスを受けていたのが
ついこの間のことのように思えるのに。



「パパがいないことに
慣れきっちゃってるから
疲れちゃうのよね。」


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