あの頃、テレフォンボックスで
未来が貝塚さんを連れてきた。

「ママ、貝塚さんに言ってあげて。」

「何を?」

「何をって・・・こないだの、
ケイタさんの話よ。」

「あ~あれね。
偶然見かけて車で駅まで送ってあげただけよ。」


不審そうな顔の貝塚さん。

「それから、長井くんが本屋で見かけたって
言ってたけど、あれもたまたま、よ。
見てるところが似てるみたいで、
なぜだかケイタさんにはよく会うのよ。」


・・・・よかった、今日はケイタが来てなくて。
私、今どんな顔して話してるかしら?


「じゃあ・・・じゃあ、
未来がケイタさんと付き合ってるわけじゃないんですね?」


「は?」


未来と同時に聞き返した。


「だって・・・・
私はてっきり、未来が長井くんと別れて
ケイタさんと付き合うんじゃないかと思って。
だって未来、こないだ、長井くんとケンカしてたし、
ケイタさんに相談してるうちに、そういうことになって・・・
みたいな。」

・・・・・貝塚さん、ケイタが好きなのね。

「バッカじゃないの~~。
それで、どうしてママとケイタさんが一緒にいるのよ。」

「それはそうだけど・・・・」


「おもしろい見方をするのね。
未来、誤解が解けてよかったわね。
貝塚さん・・・・らしくないこと言うのね。」


「・・・・・・・・」


貝塚さんでも、恋にはオクテかぁ。




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