あの頃、テレフォンボックスで
あとから聞いた話だけど、
志穂といつも一緒にいる私を見て
森川くんが「あの子紹介して」、
と渉くんに頼んだらしい。

そうとは知らないで私は
「森川くんって初対面の私にも優しい」
と思っていた。


土曜日の3時にベンチまで行ったのは、


男の子と話ができない自分が嫌いだったから。

何かにつけ佐山さんを頼ってしまう
自分が嫌だったから。


クリスマスを佐山さんと過ごしてから
私から彼に連絡することはなくなった。

二度ほど佐山さんから
「ドライブにでも行く?」とか
「映画に連れていってやろうか?」
と電話が来たけれど
友達と約束がある、と言って断った。


佐山さんが、家にお年賀の挨拶に来たとき以来
会ってない。


15分くらい遅れて森川くんが来た。

「ほんとに来てくれたんだ。」


そう言ってすぐに

「じゃ、行くぞ。」

と私の手を握って
人ごみに向かって歩き出した。


強引だな、でも・・・・
嫌な感じはしない。


私、男の子と手をつないで
こんなところを歩いてる。


恥ずかしい気持ちと同時に
今すぐ志穂に
そう言いたい気分になった。
それから
佐山さんにも。

森川くんの行くところに
ただついていく。


ジーンズショップで
取り置きしていたジーンズを受け取り、
CDショップで新しいCDを買い、

そのままルイーズへ。







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