あの頃、テレフォンボックスで
外へ出ると、映画サークルの子たちが
観客にアンケート用紙の記入を
お願いしていた。


無意識にケイタの姿を捜す。


「ケイタさん、交代して休憩
行きましたよ。」


貝塚さんにそう声をかけられて
ハッとした。


「え?・・・・えっと・・・
ケイタ、さんじゃなくて・・・・
未来はいないのかしら?」



「未来は今日は一日テニスコートです。
希望者にテニスを教えてますよ。」



貝塚さんの瞳の奥が怒ってる。

そう感じるのはうしろめたいから?



私とケイタはなんでもない。
そう言ったはず。

それよりも、
まさか・・・
疑われるなんてこと、ありえない。


「じゃ、また今度
みんなで家にいらしてね。」



そう言って
逃げるように視聴覚室をあとにした。
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