雪が降る町~追憶のletter~
冗談だとは思うけれど、どこか本気でそう言っているんじゃないかと快斗はもたれていた背を離して大地を見た。

するとその快斗の反応を見て大地は、してやったり。という顔で笑っていた。
その顔を見た瞬間快斗は、しまった。と心で舌打ちをする。


「わかりやすいねぇ~快斗は!」
「何が」
「とぼけたって無駄!って快斗が一番わかってるだろ」
「····」


ニヤニヤと腕を組みながら優勢な大地は快斗を見て可笑しそうに言う。


「わかりやすいのに、本人には気付かれてないんだ?」
「ケンカ中だし。もう望みないんじゃない」
「ケンカったってどうせ小学生並みのだろう?大体、望みないっていう態度じゃないし、今日ずっと」


大地の言うことに何も言い返せない快斗はふいっと目を逸らしてコートのポケットに手を入れて再び壁に寄りかかった。

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