雪が降る町~追憶のletter~
「なんでもねぇよ!」
「おい、快斗···随分と生意気になったなぁ?お前が担当してる工場の製品、うちのと入れ替えするように裏から手を回すぞ···」
「···ダイ、それ半分本気だろう?」
「さて、どうかな」


快斗と大地は同じ高専出身だ。
且つ専攻していた科も同じ為に、ほぼ同じ内容の業種に就いている。
会社が違う為に、ある意味ライバルにはなるのだろうが、サラリーマンにそこまでの思いはない。

だが、酔った大地は、快斗の顧客を奪うと脅しをかけたのだ。


勿論冗談で。


「いやでも、学生の時に3人で集まっていたとしてもこうやって酒を交わすなんてことはできなかったし、なんだか年月を感じるなぁ」


今度は急にしみじみ懐かしむように大地が腕を組み目を閉じて一人頷きそう漏らした。


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