雪が降る町~追憶のletter~


「お、きたきた」


帰りのバスも3人一緒。
もちろん降りるバス停も一緒。

バスの中はぱらぱらとしかお客さんがいなくて、後ろの席に3人並んで座ることは容易に出来た。


「あー明日からめんどくせ···」
「外の現場だと確かにこの時期つらいのはわかる」
「快斗は今何してんの?」
「最近は図面起こしてばっかだから内勤だよ」


窓側から晶、快斗、大地という順に座っていた。
晶は窓の外の白い雪を見つめつつも、2人の会話を少し耳に入れては、よくわからない話だ。と思っていた。


「晶ちゃんは?そーいえば何してるんだっけ?」
「私?フツ―の事務職だよ」
「へぇーお茶汲みとかすんの?」
「まぁ··ときどき?」


『想像できない』と笑いながらも、『おれも会社で茶を飲みながら仕事がしたい』と大地は嘆いているうちにバスが降車する場所に着いた。
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