雪が降る町~追憶のletter~
日替わり定食を2つ頼んで二人は向かい合ったまま少し沈黙していた。
幸いランチタイムで賑わっている店内が無言の二人の気まずさを和らげてくれていた。

気まずいと思っているのは晶だけなのかもしれないが····

それから少しして、真田の体が動いた。
背もたれに体を預けていた態勢から、テーブルに肘をついて頬杖をつき、晶に若干近付いた形だ。


「風邪とかひいてなかった?」
「えっ?はい大丈夫でしたけど」
「そっか。土曜日寒かったし、バス待つのに結構外にいたから心配になって」
「ああ!いつものことですから」


快斗や大地と違って、真田に対してはどうもかしこまってしまう。
やはり子どもの頃からの延長上の男の子と、会社の先輩となると仕方がないところだ。

しかしその壁を感じているのは晶だけではない。


「いつものバス···だったね。あのバスはいつも桜井くんと、一緒に?」
「えっ?いえ、そんないつもって訳じゃ…たまに…大体まだ数日しか…」
「数日?」
「はい。快斗はつい最近こっちに戻ってきたばかりなので」

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