雪が降る町~追憶のletter~


晶は定時に上がると、ゆっくりと着替えを済ませてから会社からすぐ近くのカフェで時間を潰していた。

一人でカフェに入るのは全く苦痛ではない。
しかし特にすることもないので、手帳を見たり携帯を見たりするのが常だ。


(そういえば今日は快斗くるのかな)


ディスプレイを着信履歴表示にし、快斗の名前を見る。

気付けばいつも快斗を気にしている自分がいる。
幼馴染だからだと思っていた範囲を超えている気がする。

極めつけは昨日の急な贈り物。
正直、あのクリスタルは快斗がくれたから素直に喜べたんだと晶は考えていた。

仮に真田から贈られていたら···

きっとうまく喜べずに、なんだか素直に受け取れないようなそんな気持ちになりそうだった。


「これを読み返すのも今日が最後かな」


晶の手にはあの白い封筒があった。

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