雪が降る町~追憶のletter~
「大ちゃんじゃ···ない、の?」


揺らいだ目で大地を見据えてそういう晶に大地は未だ差し出されている手紙をそっと手にとって中を確認してもいいか晶に目で問う。

晶は止めることをしなかった。

もしかしたら、本当に忘れているだけなのかもしれない。
見たら思い出すのかもしれない。

そう思って、大切にしていた手紙の中身を10年振りに誰かに見せた。


「12月、31日―――···これが、おれからだって?」
「ち、違うの?だって、この前大晦日に行けなくてゴメンって··」


2人の間に一瞬冷えた風が吹いて、カサッと封筒と便箋の擦れる音が響く。


「いやー、まぁ確かに晶ちゃんのことは“お気に”だったけどね!」
「じゃあどうして··」
「ゴメンな。これは残念だけどおれじゃない」

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