雪が降る町~追憶のletter~
不思議と2人で待つバスは時間もあっという間だったし、何より寒さを感じなかった。

混みあってるバスの中で角に立たせてくれたりさりげない優しさは昔と変わってない。

バスを降りてそれぞれ会社に向かって気付いたけど、快斗の会社と晶の会社は目と鼻の先だった。



「おはよー晶」
「あ、おはよう」

ありさが更衣室で着替え終わっていた。

「昨日はどうだった?」
「なんにもないよ!」

ありさは世話好きで恋バナも好き。こんな晶の今のシチュエーションは大好物だ。
だけど期待に添えるような話はなにもない為、ありさも残念がってデスクについた。


「でも、あんなにかっこよかったらさ。一度は好きな時期とかあったんじゃなくて?」


ありさはまだ掘り下げて話を続けようとする。

(私は本当にそんなことなかったと思うし、同じ歳だけど、しっかりものの快斗はずっとお兄ちゃん的存在だったからありさの待っている答えにはならないな…)


「晶は面食いじゃないのかー」

「そうなの?」

ありさの嘆きに反応したのは晶じゃない・・・2人して驚いて後ろを振り返ると真田が立っていた。

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