雪が降る町~追憶のletter~


「快斗、おはよう」
「・・・おう」


同じ時間に、約束してる訳でもないのに家を出て、隣に並んで登校する。


「ねぇ、明日泣いちゃうかな」
「さぁね。まあ晶は号泣じゃないの」


北に位置するこの町は、今朝もしんしんと雪が降り積もる。


手袋に耳あて。マフラーをしっかりと巻きつけて赤い鼻をすする隣の女子。

俺は全部、つけない派だ。


「もう卒業だなんて、実感わかないよ」
「そうだな・・・」
「あっちゃんとも離れちゃうし・・・あ、快斗は一緒だけど」
「そりゃ家が隣だし」


ギュッギュッと踏みつける雪の音。
3月だというのにまだ降るのがこの町だ。




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