雪が降る町~追憶のletter~
「さすが快斗!そろばんやってるだけあるね!」
「あんまり関係ないような・・・」
「だって今の暗算でしょ?」
「・・・」
幼い頃から習い始めた珠算。
本当は晶も体験教室の時は一緒だったんだけど、どうも頭が理数系に向かないようで入会したのは俺だけだった。
「ありがと快斗っ」
にこりと笑う晶の顔は見なれている筈なのに、ドキリとする。
ああ、やっぱり“女”なんだな。
なんて妙に冷静に判断したりもして。
だけどその冷静さは翌日容易く崩れ去った。
俺が、晶を誰にも渡したくないと思った瞬間が―――