雪が降る町~追憶のletter~
「じゃあ、皆さん、元気で。ありがとう!」
担任が目頭を押さえながら、受け取った花束に顔を埋めるようにして最後にそう言った。
ああ、本当に今日でこの生活が終わるんだな、と思った。
挨拶と帰りの会が終わったというのにがやがやと教室も廊下も賑やかで、あちこちで写真撮影をしている。
ほとんど女子だけど。
「おー快斗!今日これから遊ばねぇ?」
「おー……」
クラスメイトがそんな“卒業”の雰囲気もないことを俺に言ってきたときだ。
ふと、気付いたんだ。
晶が、隣のクラスの男子に話しかけられてるのを。
「あ、悪い。ちょっと今日パス」
俺は友達にそう言ってその場を離れた―――…いや、後を追った。