雪が降る町~追憶のletter~
中学校入学
中学生になっても俺の中では何かが変わるわけでもなかった。
俺たちの学年は6クラスで、晶とはあっさり別々のクラスになった。
…まぁ、そんな都合よく事は運ばないとは思っていたけど。
でも俺は毎日のように晶とは顔を合わせていた。
だからそんなに焦りも、何かを変えなければ、なんて当然思う事はなかった。
「ねぇ、快斗。もう慣れた?」
「まぁ…学年の3分の1は同じ学校から上がってきてるし。勉強も別に」
「でもすぐ“期末テスト”ってやつあるよね…あー…不安」
「…ちゃんと授業中起きてんのか?」
「起きてるよっ」
思わず立ち上がって俺を見て息まいてる晶を俺は柵に寄り掛かったまま笑う。
ここはバルコニー。
俺は俺の家の。晶は晶んちの。隣り合った家で、バルコニーが向かい合うように出来ている作りは俺たちの格好のたまり場。
なんとなく、毎日のようにこうしてここでそんなどうでもいい話をする。
登下校はほとんど晶と一緒に居られなくなってしまったから。
俺が野球部に入っちゃったから朝練と放課後も練習で晶の姿はたまにグラウンドから見掛けるくらいだった。
「…なんで隣にいつもいて、毎日同じ学校に通ってるのに、わざわざこうしてるんだろうね、私たち」
ふと、背を向けて晶がぽつりと暗い空へと呟いた。
「…お互い暇なんだからいいんじゃね」