雪が降る町~追憶のletter~
その答えはなるべく平静を装って。
内心晶のその言葉を聞いて慌ててる自分が居た。
“晶は俺から離れようとしているんじゃないか”
そんなことがふとよぎったから。
俺はこのままでいい。だから晶もそのままで居てほしい。
そう思う事は俺の独りよがりだとこのころから気付き始めていた。
「なんだかいつまでも子供っぽいよね、私たち」
「仕方ないだろ。晶は本当に子供だし」
「そっ、そんなことないんだから!」
「なんだよ?」
「…べ、別に…」
暗い中でも、この至近距離からだと晶の赤くなった耳がわかった。
なににそんなに顔を赤くしてるかは知らないけど。
「ほら!明日も部活でしょ?じゃあね」
「…おぅ」
それから晶は一度も俺を見ることなく家へと戻って行った。
晶が居なくなったバルコニーには長居する理由がない。
俺もすぐに家へと入ってさっさとベッドにもぐりこんだ。