雪が降る町~追憶のletter~
誰だ?
躓いたのか、なんなのかわかんないが、晶がその男子の腕に添えていた手を離して体勢を整えてた。
そして俺のことなんか気付きもせずに、そいつを見上げて恥ずかしそうににっこりと笑う。
あんな照れたような、恥じらっているような。
“女”の表情を俺に向けられたことってあっただろうか。
目の前の幼馴染はどんどんどんどん変わって行く。
まるで俺から離れて行くように―――。
でもそれは自然なことで、晶は悪くない。
きっと月日が経つごとに、晶の中での俺の存在なんて、小さなものになっていくんだ。
そうして、いつか、どっかの男を好きになって―――。
―――その時、俺は?
俺は、晶へのこの微妙な気持ちが変わってたりするんだろうか。
一時の気の迷いになるのか。
他に好きな人が出来てるのか。
幼馴染として、傍に居続けるのだろうか。
そんなこと、わからない。
ただ、ひとつだけ、今はっきりしてること。
どんな形にしても、晶との繋がりがなくなるなんて考えられない。