雪が降る町~追憶のletter~
「ハイ。生物の教科書」
「…晶どっか具合悪ぃの?」
俺はダイの言っていた言葉を思い出して言った。
『保健室行く?』って聞いていたから。
「えっ…べ、別に!」
「よく見たら顔色もあんま、よくねぇかも…」
「だ、大丈夫!普通だよ!」
「でも…」
「快斗に関係ない!」
俺の言葉に被せるように、あの晶が珍しくきつい口調で言い切った。
俺は驚いたけど、だんだんとその晶の態度に腹が立って、ムスッとその場を去ろうとした。
「あ……」
後ろで晶が何か言いたげだった。
きっと、今の自分の言い方が行きすぎた、と気まずくなったんだろう。
でも俺は、その晶の言い方も、なにより『関係ない』と言われたことがどうしようもなく苛立って、振り向きもせずに晶の教室を出ようとした。
廊下に出る手前で、さっき晶を探した時に話した男子がちらりと俺を見たのにも気づいたけど、面倒くさくて気付かないフリして自分の教室に戻って行った。