雪が降る町~追憶のletter~


「――ただいま…あ?」

「あら、おかえり」
「あ、おかえりなさい。快斗くん」


部活でくたくたな体でようやくついた家の玄関を開けると晶の母さんが立っていた。


「いつもこんな時間まで部活なのね、大変ね」
「男はしごかれた方がいいのよ!」


晶の母さんの労いの言葉も関係なく、母さんがそんな答えを返す。
俺は苦笑して靴を脱ごうとした。


「晶もなにかすればいいんだけどねー」
「女の子だし、帰りも冬は暗くなるの早いし、無理していいんじゃない?」
「んー…まぁ、スポーツ向きじゃないかもね。今日も帰ってきてすぐ横になってたし」
「体調悪いの?」
「違うのよ。とうとう“始まった”のよ」


後半の晶の母さんの声が少し小さくなっていたけど、リビングに入る手前の俺にはしっかり聞こえてきた。


“始まった”???


俺はわざと動きをゆっくりとさせてその場に留まる。


「ああ!女の子はこのくらいの時期、そうよね!綾の時も同じくらいだったわ!」



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