雪が降る町~追憶のletter~
部屋に戻ってベッドに転がって頭の下に腕を組む。
さっき母さん達が話してたことの意味が分かった。
―――そういうことか。
だから、晶は必死に俺に『関係ない』って突き放したんだ。
言いづらいことだから。
でもそういう“女子”のことは、姉ちゃんがいる俺には特に珍しくなく、別に冷やかしたりもしないのに。
理由がわかると、俺の不機嫌もどこかへ行き、頭の中は冷静になっていた。
体を起こして無造作に置いた鞄へと視線を向ける。
今日、午後に借りた教科書はまだ晶に返してなかった。
あの流れで会いに行こうと思わなかった。
…俺のガキ…。
ギッと音を立てて、勢いよく立つと、鞄から教科書を抜き取る。
生物と書かれた教科書の裏表紙には、綺麗な文字で“結城晶”と書かれていた。
机に向かってパラパラと中身を捲る。
そしてそれを閉じると、俺は部屋の窓を開けた。