雪が降る町~追憶のletter~
「晶ちゃんは進路どうするの?」
たまたま休み時間廊下を歩いていたら踊り場から聞こえてきた。
俺はなんとなくその踊り場に出る手前の壁で立ち止まる。
「んー…まだどこって…確定じゃないけど。普通科の学校の予定だよ」
「そっかー。大体みんなそうみたいだしね!晶ちゃんランクも良かったよね?選べるね!」
「えっ…ううん。私そこまでよくないよ」
晶の謙虚な姿勢に俺は溜め息が出る。
別にイライラして、とかじゃない。
晶らしくて笑っちゃう、っていうところだ。
俺は知っていたから。
お世辞にも物凄くデキる訳じゃないけれど、晶はいつも努力してること。
特に3年になってからは、“受験”という未知の壁が待っているからその努力も上乗せしていたことも。
だから、あいつはここにきて成績を伸ばしてた。
ま、俺にはあと一歩届かないけど。
「あ、ねぇ!4組の桜井くんと同じ学校受けたりするの?」
「え?!」
影に俺がいるなんて知る筈もないその晶のクラスメイトは軽々と俺の名を出した。
それを聞いて晶だけじゃなく俺も内心驚いて息をのんだ。
何を言われるのか、と。