雪が降る町~追憶のletter~
「〝大みそかに、待ってます”って…」
――――俺だ。
心の中でがっくりと頭を垂れると、俺は暫く黙った後また晶に問う。
「それで、どうすんの」
この場合、俺は晶のどんな答えを期待しているのだろう。
手紙の主が俺じゃないと思ってるから、晶はこうして俺に簡単に話たんだ、きっと。
だったら、この誘いに「行く」と言われるよりは「行かない」と言われた方がいいという事になるのか?
「どうする…って……行くよ」
「え?」
俯いていた俺は顔を反射的に上げ、“なんで”って顔をしてたんだろう。
「なんで?だって、差出人がわからないならなおさら行かなきゃ」
そんな俺の表情に答える様に晶はそう言った。
「あー……そう…だな…」
それから家までの道のりは、やっぱり会話がなくて、俺と晶の雪を踏む音だけだった。