雪が降る町~追憶のletter~

4.プライベート




―――10年前·大晦日



いつもならとっくにこの辺りの灯りも消えていて、こんなに人だって溢れていない。

その日は真冬の為勿論寒くはあるが、風が穏やかで、灯りによって藍色にも見える空には瞬く星が、そしてふわふわと柔らかそうな雪が優しく舞い落ちてくる、そんな穏やかな夜だった。


それでも外に何時間もただ立っているのならば、やはり体は凍えるだろう。


首元と肩まで着いた髪を、長めのマフラーで二重に巻いて口元を隠す。
手袋をしていても指先が冷たくなってきたその手はコートのポケットに。



ポケットの中には一通の、白い封筒。




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