雪が降る町~追憶のletter~
5.重なる温もり
*
(今日も残業なし。ありさも連日デートだ)
黒いコートに身を包み、いつものバス停に向かう晶は今日も寄り道せずに直帰する。
湿った道路を騒がしく音を立てて行きかう車をボーっと眺めながらバスを待つ。
今日は珍しくバス停には一人もいない。
晶はバスの時刻までの数分間、目を閉じて待っていた。
(今度からi Podとか持ってこようかな)
一人凛とした空気の中で静かに目を閉じていると、色々なことを考えてしまう。
帰宅したあとのこと、帰宅するまでの道のりの景色。
今日の仕事の小さなミスや、ありさとの他愛ない話。
真田のいつもは見られない目――
そして、お昼にあった快斗と美久―――
「お疲れ」
(今日も残業なし。ありさも連日デートだ)
黒いコートに身を包み、いつものバス停に向かう晶は今日も寄り道せずに直帰する。
湿った道路を騒がしく音を立てて行きかう車をボーっと眺めながらバスを待つ。
今日は珍しくバス停には一人もいない。
晶はバスの時刻までの数分間、目を閉じて待っていた。
(今度からi Podとか持ってこようかな)
一人凛とした空気の中で静かに目を閉じていると、色々なことを考えてしまう。
帰宅したあとのこと、帰宅するまでの道のりの景色。
今日の仕事の小さなミスや、ありさとの他愛ない話。
真田のいつもは見られない目――
そして、お昼にあった快斗と美久―――
「お疲れ」