雪が降る町~追憶のletter~
「アホ。ついたっつーの」
「····へ?」
間抜けな返事を返している晶を急いで出口までそのまま腕を引っ張り下車する。
晶がバスが去っていったのを呆然と見ていると、快斗は呆れたよう笑って晶を見た。
「昔から、変わんねぇな。これだから放っておけない」
そんなことを言う快斗の手は晶の腕を未だに掴んで離さなかった。
晶の意識は自分の腕にある快斗の手に集中する。
(手、手ぇ!振りほどくわけにもいかないし···)
街灯がぽつりぽつりとしかない住宅街に立っているのは2人だけ。
「!!!!」
そして予期せぬ状況が起きた。
快斗が掴んでいた手は晶の腕から離され解放された。が、次の瞬間晶の左手が大きな手で包まれていたのだ。