雪が降る町~追憶のletter~
「つめてぇ···人間カイロであったまろうと思ったのに」


晶の冷えた手を握ると快斗がふざけたように笑ってそう言った。
だけど手はずっと繋がれたままで、『晶の手が冷たい』と文句を言いながらもそのまま家へと足を運び始めた。


「し、仕方ないでしょ!冷え症なのよ!」
「俺の熱が吸い取られる···」
「だったら···!」



“離せばいいでしょ”



晶はその一言を言わずに飲み込んだ。
その理由は明確にはわからない。そして快斗もその言いかけの言葉を聞いて晶を見た。
けれど、いつもはしつこく問いただされるのに今回は快斗がその話題を流す様に変えた。


「いつ以来だ?小学生か」
「え?」
「手つなぎ鬼」
「あ、ああ!鬼ごっこ···」


2人がこうして手を最後に繋いだのは小学生の頃だった。
だけど理由なく手を繋いだのは初めてかもしれない。


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