雪が降る町~追憶のletter~
「私はそんな人残念ながらいないよっ」
晶はわざとちょっと膨れたようにして頑張って答えた。
深刻そうに答えても心配されそうだし、かといって快斗のようにうまく誤魔化すことも出来なかったからそれが晶の精いっぱいだ。
「もしかして」
――ドクン
快斗の言いかけの言葉に心臓が一つ脈打った。
何を言うのか。わからないけど、わからないから、心臓がそう反応した。
「好きなやついるの?」
「――わ、わかん…ない」
それは本当のことだった。
快斗はまだ晶に質問を続ける。真剣な面持ちで――
「まだ、待ってるのか?」