雪が降る町~追憶のletter~
「晶ちゃん?」
男性の声で名前を呼ばれてドキリとする。
瞬時に快斗かと思うが、快斗は“晶ちゃん”といわない。
真田にしても同様だ。
寒くて縮こまっていた体を少し伸ばし、埋めていた顔をマフラーから出して口を覗かせる。
すれ違い様に自分を呼んだであろう男を振り向いて確認する。
ダウンジャケットにジーンズ。短髪で色黒。
すらりとしたスタイルだけどスポーツは出来そう。ジーンズの上からも鍛えられたような足が確認できて晶はそう思った。
「晶ちゃんでしょ?!」
そして真田とはまた違う、屈託のない笑顔を浮かべて白い歯を惜しみなく披露し、それはもう言葉通りにっこにこと晶に一歩近づいてきた。