雪が降る町~追憶のletter~
「···あの?」

「あれっ。わかんないか···」

「···ごめんなさい」


ナンパだったら名前なんか知らない筈。
晶は自分の記憶がないことを詫びて、顔をちらちら見ながら考え続ける。


(高校――ではない。そもそも“ちゃん”付けで呼ばれるなんて···)


「しょうがないかな!」


晶よりも背の高いその人は、そういうと屈んで覗き込むようにして晶の頭に手をぽんっと置いた。

驚いたがなぜか嫌な感じはしなくて晶もその手を受け入れた。
そして、その笑顔に昔の面影を思い出したのだ。


「だっ、だいちゃ··ん?」

「お?そうー!当たり!」


晶が言い当てるとその“大ちゃん”と呼ばれた男は晶の髪をくしゃっと撫でた。
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